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「なるべく縁の太いやつがいいです」
「今回は銀縁」
「縁の太い銀縁なんてあるんですか?」
「無いだろうな」
「ふざけないでください」
人の話を聞かないのはFACTの特性だろうか?
春哉はいくら言っても勝手に人の顔に取っ替え引っ替え全部縁の細い眼鏡をかけてくる
値段は全て三万以上、10万以上するものも混ざってる
チェーンの眼鏡屋でいいのにお洒落で高級で居づらい
言われるまま視力を測定して度を測り勝手に選ばれた眼鏡を掛けて美容院に放り込まれた
ここでも「なるべく長めに………」と言う注文は無視され中学以来の短髪に仕上げられてしまった
モデルは本来素材なのだ
髪を染めたり過剰に作り込まれた髪型はタレントだけで女性モデルも現場にはほぼノーメイクに真っ直ぐな髪を縛って地味に現れる
そこからスタイリストや予算のある撮影ではメイク担当が別に入り色を付けていく
秋山の髪型は前髪が横に流され真っ直ぐに下ろすと目にかかるがそれ以外は真面目なサラリーマンとも言えるシンプルな短髪だった
「さすがに仁の所のモデルさんは質が高いね」
「はぁ」
鏡で見ると小さい頭が益々小さく見える……
帽子?
カツラ
何ならヘルメット………学校に行くのが嫌だ
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