3・幸恵

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私は、よく夢を見た。 おばあちゃんになった夢。その夢の中である人と約束をしたの。 "生まれ変わってもまた、一緒になろうね"って。 憧れを抱いた。 将来そんな風になればいいなって。そんな人と恋をしたいなって。 結婚なんてしなくても、子供を生まなくても他にもたくさんの幸せを選択できるこの時代に。 大人になって一人の男性と出会った。恋をして遂には結婚することになった。 そして、違和感に気付いたの。 私が見ていた夢は、夢でも何でなかった。 "夢"で終わらすには鮮明すぎる記憶、感覚。 よくよく、考えてみた。これは、幼少期を思い出すのと同じ感じ。 そして、確信した。 これは過去の記憶なんだって。 そう、私達は生まれ変わってもまた、一緒になろうと約束した二人の生まれ変わりだったの。 最初は信じられなかった。 でも、過去の記憶。二人だけしか知らない言葉。思い出の場所。どれも生まれ変わったとしないと辻褄が合わない事実。 分かったでしょ?私達は…… 70億人の中から"二回出会った"二人なの。 これこそ、この世で他にない運命のはずでしょ。
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