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朝の4時半から起こされ、尋常じゃない眠気の中オムライスを作らされた。
何が楽しくてこんなことしなきゃならないんだ。
「康介!早くオムライスを補給しなければ生命維持に関わるわ!至急調理を!」
何が至急調理をだ。
こちらとしては至急おかえり願いたい。
ちょうど寝付いたところに起こされてるんだ。
「勘弁してくれ」
「え?何か言った?」
「・・・・・・何でもない」
抵抗するのも億劫だ。
今日はこれ以上アレコレ言われたくなくて、最初からケチャップで名前を書くことにした。
「亜矢子」
「何?」
「名前の漢字は?」
「あら!言われなくても名前を書くことを理解出来たのね!素晴らしいわ」
ほんと面倒なやつだ。
「アレコレ言われるのは嫌だからな」
「アレコレとは失礼ね。・・・まぁ今日はいいわ。言われたくなくて名前を書くことを学んだ日だからね。いい?亜麻色の亜に弓矢の矢、子供の子わかった?」
わりと簡単な字だな。
「了解」
トドメにコーヒーの準備もしてやろうとヤカンも火にかけておく事にした。
やはり、これでもかと言うほど綺麗に完食し洗い物をしつつコーヒーを淹れた。
「なんてことなの!?康介がここまで成長を!」
僕はお前に躾られたわけでは無いのだが。
コーヒーを飲ませて、スグにおかえり頂くことにした。
「そろそろ帰れ。腹も膨れて満足だろ」
「そうね。このままだとまた、遅刻するって説教されるわ」
テレビの方にふと目を向けると星座占いが始まっていた。
「もう、こんな時間なのか・・・」
確かに遅刻するような時間ではないけれど、もう布団に転がれるような時間はなかった。
どっと疲れた気がする。
1人で落胆している間に玄関からドアの閉まる音がした。
亜矢子は勝手に帰っていた。
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