3返し目

2/13
前へ
/43ページ
次へ
酷いことに、この状況が1ヶ月続いた。 平日はまだいい。 朝早くから朝飯をせがまれ、日中は仕事して、夜も夕飯を食いに来る。 休みの日はさらに酷かった。 朝昼晩と飯を食っては帰り、その時間がまた不規則なのだ。 体はみるみる疲弊していった。 それもそのはず、実質1時間程度しか寝ていないのだから。 そんな時だった。 朝から来た亜矢子の肩にやたらとデカイバッグが掛けられていた。 まさかとは思うけど。 「なぁ。一つ聞いてもいいか?」 「どうしたの?アタシが可愛すぎる理由?」 残念なことに。あんなに騒いだ朝も最近では普通の光景になり、一緒に朝飯を食うほどになっていた。 「誰がそんなこと聞くか!それだよ。そのバカでかいバッグだよまさかとは思うけど、お前ここに居座る気か?」 「居座るなんて、そんな横柄なことはしないわよ。こうしてご飯を食べさせてもらって感謝しているのだから」 「お、おお。なんだかまともなことを言われている気がする」 「だからね?私が住んでここを治めてあげようと思うわけよ」 はい? 「ちょっとまて、居座らないって言ったじゃないか」 「居座るんじゃなくて治めるのよ」 「どこの国王だよ」 「国王ではありません。王女なのです」 キラキラと言われた。 冗談じゃない。 なぜ僕の日常にこんなのが紛れ込んできて、居座るという名の寄生をされて、果ては治めてやるときた。 タチが悪い。 「それは駄目だ。いくら何でも駄目だ」 「駄目とかじゃないの。私がここに住むと言ったら住むの以上よ。国民は精を出して働きなさい」 その後も押し問答をしてみたものの、一向に折れる気配を見せなかった。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加