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酷いことに、この状況が1ヶ月続いた。
平日はまだいい。
朝早くから朝飯をせがまれ、日中は仕事して、夜も夕飯を食いに来る。
休みの日はさらに酷かった。
朝昼晩と飯を食っては帰り、その時間がまた不規則なのだ。
体はみるみる疲弊していった。
それもそのはず、実質1時間程度しか寝ていないのだから。
そんな時だった。
朝から来た亜矢子の肩にやたらとデカイバッグが掛けられていた。
まさかとは思うけど。
「なぁ。一つ聞いてもいいか?」
「どうしたの?アタシが可愛すぎる理由?」
残念なことに。あんなに騒いだ朝も最近では普通の光景になり、一緒に朝飯を食うほどになっていた。
「誰がそんなこと聞くか!それだよ。そのバカでかいバッグだよまさかとは思うけど、お前ここに居座る気か?」
「居座るなんて、そんな横柄なことはしないわよ。こうしてご飯を食べさせてもらって感謝しているのだから」
「お、おお。なんだかまともなことを言われている気がする」
「だからね?私が住んでここを治めてあげようと思うわけよ」
はい?
「ちょっとまて、居座らないって言ったじゃないか」
「居座るんじゃなくて治めるのよ」
「どこの国王だよ」
「国王ではありません。王女なのです」
キラキラと言われた。
冗談じゃない。
なぜ僕の日常にこんなのが紛れ込んできて、居座るという名の寄生をされて、果ては治めてやるときた。
タチが悪い。
「それは駄目だ。いくら何でも駄目だ」
「駄目とかじゃないの。私がここに住むと言ったら住むの以上よ。国民は精を出して働きなさい」
その後も押し問答をしてみたものの、一向に折れる気配を見せなかった。
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