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「そうそう、康介の本はあっちにしまっといたわよ」
「おお、ありが・・・っ」
飲んでいたコーヒーを吹き出してしまった。
「汚っ!ちょっと、やめてよ」
亜矢子にモロにかかったらしい。
だがこちらはそんなことに構っていられないほど血の気が引いていた。
大人の嗜みとも言える大人な本とDVDたちが本棚にあいうえお順で並べられている。
きっとコイツはニコニコしながら並べていたのだろう。
文句を言おうにもものがモノだけに大きく言えない。
「わ、わるい。ありが、とうな」
人生で1番ありがたくないありがとうだった。
忘れるしかない忘れるしかない。
「康介、流石にアタシああいう事されるのは仕方ないとしても、無理強いしないでね」
またコーヒーを吐き出した。
「なんなのよ!いちいち吐き出さなきゃ話せないわけ?」
亜矢子は怒っている様子。
「あれぐらい驚きゃしないわよ!」
そういうことではないのだ。
繊細な男心は時として、乙女よりも傷つきやすいのだ。
「もういい、なんか疲れた。風呂入る」
初めてを奪われた気分だ。
アイツはそういうことに慣れているのだろうか?
あの見た目だ。
慣れている方が自然な気もする。
でも、それは、なんとなく嫌だな。
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