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風呂から出ると亜矢子がテレビを見ていた。
「おかえり、なんか飲む?」
「ああ」
亜矢子はすっと立ち上がると、やはり足音を立てずに麦茶を2人分用意してきた。
「さんきゅぅ」
「どういたしまして」
テレビを見ている亜矢子を横からじっくり見てみる。
実際のところ、かなり可愛いのではないだろうか?
整った顔と金髪は完全に外国人だ。
人形みたいといえばわかるだろうか?
いつもなら帰っているであろう時間を過ぎてきて、亜矢子は欠伸が多くなった。
僕としてはまだまだ寝るような時間じゃない。
「眠いなら寝りゃいいのに」
「まだ・・・、もうちょっと康介の躾を・・・」
言い終わる前に寝落ちしてしまった。
どうやら僕は枕返しに躾られているらしい。
躾とは随分とバイオレンスな事を言っている。
僕はこの後何をされるのだろうか?
首筋を冷や汗が流れた。
ともあれ、このまま寝られては困る。
亜矢子の寝ている僕から見てテーブルの反対側に今日の僕の寝床、ソファーがあるのだ。
ここからご退場頂かなくてはならない。
ぐでっと伸びた亜矢子をお姫様だっこして、布団の上にそっと置いた。
流石に投げるなんて出来ない。
この様子なら朝までぐっすりってところかな。
今日は疲れたし、僕も横になりたい。
適当なタオルケットを掴んでソファーに横になった。
今日はなんだかよく眠れそう。
とは、いかなかった。
眠れないままソファーでのたうち回って気づいたら夜中の3時だ。
不眠症が治ったわけじゃない。
亜矢子が帰っていた時も寝れていたわけではないのだ。
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