3返し目

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あと、1時間。 だいたい4時頃になれば何とか眠りにつける。 そのぐらいの時間が僕のサイクルらしい。 30分ほど経って、程よくウトウトしてきたころ。 現実と夢の境目が分からなくなる頃合。 僕の枕は引っ張られていた。 今回は初回の時と違いやたらと力強く引っ張っている。 犯人が誰かはスグに分かるのだけど、よくも寝かけた僕を起こしてくれたなという怒りがフツフツと湧いていた。 文句を言ってやろうと起き上がると同時に亜矢子が最大限の力で枕を引っ張ったらしく、僕の頭の下から枕が吹っ飛んでいき、鈍い音と共に亜矢子が飛んでいった。 鈍い音というのはタンスに頭をぶつけたらしい。 暗闇の奥から唸り声が聞こえる。 ドスドスと音を立てて近寄り枕を奪い返した。 睡眠妨害の反撃として無言でソファーに戻る。 「ねえ、女の子が苦しんでるのに無視するの?それでも男なの?」 人の寝込みを襲っておいてよく言う。 「自業自得だ。タダでさえ眠れない僕をよくも起こしてくれたな。これで今日はもう寝付けないぞ」 「こ、この状況から今夜は寝かさない!?ご、強引ね」 そっぽを向きながら勘違い発言をする。 「おい、勘違い女。お前はさっさと部屋に戻って寝ろ。僕は明日のために横になって少しでも休みたい」 「やっぱり不眠症なのね?」 「そうだ」 「そっかぁやっぱりかぁ、そりゃそうかぁ」 額に手を当ててあちゃーっといった表情をする。 「それがどうしたってんだ?」 「いやいや、気にしないで!初めてここに来た時もあんな時間なのに、やけに起きるのが早いなと思ってたの」 どこか焦りながら取ってつけたような理由を話す亜矢子は傍から見たら頭の上に汗マークが出ていそうだ。
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