3返し目

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「病院行ってもダメだったんだ」 「そりゃダメだと思うなぁ・・・」 効率的な治療法でも知っているのか? 「何か知ってるのか?」 「し、しし、知らないわよ!」 僕は治療法を知っているのかと聞いたつもりなのだけど、この焦りようはなんだろう。 「ね、寝る!」 亜矢子は走るように寝室に入っていってしまった。 確実に何かを知っている。 それも治療法とかそんなレベルではない。 もっと根本の、それこそ原因を。 もしかして、昔どこかで枕返しに枕でもひっくり返されてそれで? いや、そんなわけないだろう。 そもそも、枕返しなんて実際は完全な人間で、本で見た見た目とは程遠いことがわかった。 というか、本当にアイツは枕返しなのだろうか? 結局朝まで眠れなかった。 そして朝の4時半には・・・ 「康介!朝ごはんよ!」 「はいはい」 結局寝ていないのだから起きるのも大して億劫ではない。 ちょっと食休みぐらいにしか横なっていないのだから。 「ほら、注文通りの安っぽいオムライスだよ」 「これよ! これじゃなきゃいけないわ!それ以外はオムライスへの冒涜よ!」 なんでこいつはこんなに拘りが強いんだ。 支度をしながら、亜矢子に声をかけた。 「亜矢子」 「ん?」 「これ」 昨日作ってきた合鍵を渡した。 「ほえ?」 亜矢子の調子ハズレな声とともに、顔がみるみる紅くなっていくのがわかった。 「こ、これはもしかすると、恋人にのみ許される合鍵というヤツデスカ!」 最後片言だぞ。 「恋人でなくても、ルームシェアというものがあるから、恋人限定ではない」 どうやら聞こえていないらしい。 薄気味悪い小躍りをしながら、床にペタンと座り込んでしまった。 「お、おい!」 心配して手を伸ばす。
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