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「病院行ってもダメだったんだ」
「そりゃダメだと思うなぁ・・・」
効率的な治療法でも知っているのか?
「何か知ってるのか?」
「し、しし、知らないわよ!」
僕は治療法を知っているのかと聞いたつもりなのだけど、この焦りようはなんだろう。
「ね、寝る!」
亜矢子は走るように寝室に入っていってしまった。
確実に何かを知っている。
それも治療法とかそんなレベルではない。
もっと根本の、それこそ原因を。
もしかして、昔どこかで枕返しに枕でもひっくり返されてそれで?
いや、そんなわけないだろう。
そもそも、枕返しなんて実際は完全な人間で、本で見た見た目とは程遠いことがわかった。
というか、本当にアイツは枕返しなのだろうか?
結局朝まで眠れなかった。
そして朝の4時半には・・・
「康介!朝ごはんよ!」
「はいはい」
結局寝ていないのだから起きるのも大して億劫ではない。
ちょっと食休みぐらいにしか横なっていないのだから。
「ほら、注文通りの安っぽいオムライスだよ」
「これよ! これじゃなきゃいけないわ!それ以外はオムライスへの冒涜よ!」
なんでこいつはこんなに拘りが強いんだ。
支度をしながら、亜矢子に声をかけた。
「亜矢子」
「ん?」
「これ」
昨日作ってきた合鍵を渡した。
「ほえ?」
亜矢子の調子ハズレな声とともに、顔がみるみる紅くなっていくのがわかった。
「こ、これはもしかすると、恋人にのみ許される合鍵というヤツデスカ!」
最後片言だぞ。
「恋人でなくても、ルームシェアというものがあるから、恋人限定ではない」
どうやら聞こえていないらしい。
薄気味悪い小躍りをしながら、床にペタンと座り込んでしまった。
「お、おい!」
心配して手を伸ばす。
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