1人が本棚に入れています
本棚に追加
「嬉しすぎて腰抜けた。あはは。嬉しいね」
女の子座りで、こちらを見ている。
嬉しすぎて腰抜けたって昔他の誰かが言ってた気がする。
「何やってんだよ。ほら」
亜矢子の手を引っ張って立ち上がらせた。
「家から出る時戸締りとかガスの元栓とか確認してから家でろよ」
「任せておいて!」
また力こぶを作るようなポーズで意気込みを語る。
「じゃあ仕事行ってくるからな。戸締りだぞ!」
「わかってるわよぉ」
亜矢子はまだニタニタしている。
僕はそんな亜矢子に送り出されて会社に向かった。
会社につくといきなり総務部の人間が詰め寄ってきた。
「社員旅行の出欠確認。高梨さんだけなんですけど!!」
「あ、すいません」
高梨というのは僕の名字だ。
「案内のレジュメを先月渡しましたよね?社内メールでも通達してますよ?で、どうされるんですか?」
うちの会社は強制的なイベントは無いのだけれど出欠確認にはやたらとうるさい。
実際期限まではまだ半月あるのだ。
「もうちょっと考えようかなぁ、ってのはダメですか?」
「早くしてくださいよ!予約取れなくなったらどうするですか!」
「すいません」
「これ、もう1度お渡ししておきますからね!」
机の上にドンと置かれた社員旅行の案内をバッグにしまって仕事を開始した。
家に帰ってから確認しよう。
今日の仕事は不思議と早く終わった。
決算月なのにどうやら幸運だったようだ。
帰りにオムライスの材料とケチャップを買っていかなければ。
最近やたらとケチャップの消費が激しい。
亜矢子が食いまくってるからなのだけど、便乗して自分もオムライスばっかり食べているせいだろう。
最初のコメントを投稿しよう!