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「じゃあいいわ!」
亜矢子はテーブルのペンを取りレジュメに書き込みを入れた。
レジュメには「ルームメイト」も大歓迎の文字が書かれている。
「それで?」
「はっ!見て康介!ルームメイトも大丈夫みたいよ!」
「どの口が言ってんだ」
「この口よー」
亜矢子は自分の口を指さして言っている。
仮にコイツを連れていったとして、僕はなんと言えばいい?
結婚してないとなると、彼女ですって言うのか?
冗談じゃない。
「なんでそんなに行きたいんだよ」
「だって面白そうじゃない!それにね」
「それに?」
「いや、それはこっちの話!で、同行するからね!会社の人にちゃんと言っておくのよ!」
上機嫌に決定事項だと言い切られた。
逆に考えよう。
コイツを置いていったとして、どうなる?
飢え死に?
いやいや、イザとなれば自分の家に帰るだろ。
あ、でも、腹が減ったと僕の携帯が鳴らされたら面倒だな。
そんなことを考えていると、本当に僕の携帯が鳴った。
「はい」
「あ、高梨さん?」
「そうですけど」
「今回の社員旅行なんだけど、1人キャンセルが出ちゃって、それでもいいんだけど、せっかくだから誰か増やそうかってことになったの。うちの会社って家族とか大丈夫だし、高梨さん誰か誘えない?」
携帯の反対側に亜矢子が耳をつけていて一部始終を聞かれた。
気づいた時には携帯が取られていて、亜矢子が電話を持っていた。
「亜矢子行きまーーす」
悲しい発進だった。
すぐに携帯を取り上げる。
「すいません、今のなしで!」
「今の、高梨さんの彼女さん?いいじゃないですか!せっかくなんだし、一緒に観光されたら楽しいですよ!彼女さんの名字教えてもらえます?」
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