3返し目

12/13
前へ
/43ページ
次へ
「じゃあいいわ!」 亜矢子はテーブルのペンを取りレジュメに書き込みを入れた。 レジュメには「ルームメイト」も大歓迎の文字が書かれている。 「それで?」 「はっ!見て康介!ルームメイトも大丈夫みたいよ!」 「どの口が言ってんだ」 「この口よー」 亜矢子は自分の口を指さして言っている。 仮にコイツを連れていったとして、僕はなんと言えばいい? 結婚してないとなると、彼女ですって言うのか? 冗談じゃない。 「なんでそんなに行きたいんだよ」 「だって面白そうじゃない!それにね」 「それに?」 「いや、それはこっちの話!で、同行するからね!会社の人にちゃんと言っておくのよ!」 上機嫌に決定事項だと言い切られた。 逆に考えよう。 コイツを置いていったとして、どうなる? 飢え死に? いやいや、イザとなれば自分の家に帰るだろ。 あ、でも、腹が減ったと僕の携帯が鳴らされたら面倒だな。 そんなことを考えていると、本当に僕の携帯が鳴った。 「はい」 「あ、高梨さん?」 「そうですけど」 「今回の社員旅行なんだけど、1人キャンセルが出ちゃって、それでもいいんだけど、せっかくだから誰か増やそうかってことになったの。うちの会社って家族とか大丈夫だし、高梨さん誰か誘えない?」 携帯の反対側に亜矢子が耳をつけていて一部始終を聞かれた。 気づいた時には携帯が取られていて、亜矢子が電話を持っていた。 「亜矢子行きまーーす」 悲しい発進だった。 すぐに携帯を取り上げる。 「すいません、今のなしで!」 「今の、高梨さんの彼女さん?いいじゃないですか!せっかくなんだし、一緒に観光されたら楽しいですよ!彼女さんの名字教えてもらえます?」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加