2返し目

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自称枕返しが姿を消したのはいいとして、会社に遅れるのはよろしくない。 急いで会社に自転車を走らせ、ギリギリというところで間に合った。 汗をかいたおかげで、アルコールは抜けた気がするけれど夏の炎天下は体力を奪いすぎる。 フラつきながら仕事を開始した。 周りの同僚には心配されっぱなしで、なんだか申し訳ない気分になる。 きっと、朝から自称枕返しに因縁つけられて揉めてたら遅刻しそうになり自転車を飛ばしてきたら体力が削られすぎたと言っても、後半部分しか信じてもらえないだろう。 今日は仕事が手につかなかった。 悩み事とかではなくて、体調の問題。 幸い今日は定時退社日だから残業はなかった。 今すぐ倒れそうという体調ではなく、ズッシリと体か重く感じて一夜にして体重が10kg程増えたような、そんな感じだった。 家には自転車を押して帰った。 今日の夕飯は何にしよう? そんな事考えているいるうちに家に到着した。 重い体で階段を上り部屋のドアの前で見つけてしまった。 人のアパートのドアを背もたれにして、金髪のお姉さんが体育座りしている。 「何してんだお前」 「あら、おかえり。思ってたより早かったわね」 「僕は人の家の前で何をしているのかと聞いているんだ」 「何って、男の帰りを甲斐甲斐しく待つ女にそんな事言うの?」 「誰が待っててくれと言ったんだ」 体調不良も手伝ってやたらと苛立つ。 「それよりね、アタシかなりお腹が空いてて、オムライスがどうしても食べたいの。いや、食べないと死ぬの。だから、部屋に入れて」 「断る!」 「叫ぶわよ?この男が無理やりーって。いいの?」 なんだこの強引な脅し方は。 ここに越してきてまだ1ヶ月。 出来ればこのアパート内で波風は立てたくない。 「食ったらすぐ帰れよ」 「やっさしぃ!」 仕方なく食事を与えることにした。 これが餌付けになってしまったのだ。
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