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両方の尖りを捏ねられて、耐えられなくなって枕に顔を埋めた。五十嵐の手を払えば、それ以上無理強いすることはないとわかっているのにそうしないのは、やっぱり気持ちがいいからだ。
「んん……う、ん」
枕から顔を上げようとしない忍の耳元に五十嵐の息遣いが近づいてくる。
「気持ちいい? 痛くは、ないですよね」
腰のあたりに響く低い声が耳に吹き込まれ、はいともいいえとも答えられない。肩を強張らせて湧き上がってくる快感に耐えていると、耳殻にキスをされてそのまま耳の中に舌を突っ込まれた。
「ゃ、あー!」
直接響いてくるガサガサという音と、温かいものがいっぱいに耳に入ってくる感覚に思わず悲鳴を上げる。枕から顔を上げ、這いずって五十嵐から逃げた。
ようやく枕から剥がれた忍を捕らえて、五十嵐が両手で忍の顔を挟んで濃厚に口づける。忍はもう、次々に降りかかってくる快感に息も絶え絶えだ。
「……有村さん、有村さん」
「や……いや」
「こっち見て。俺の方見て」
優しい声で懇願されて、おそるおそる五十嵐の顔を見る。
余裕な顔で、戸惑う自分のことを笑っていると思った五十嵐は、目の淵を赤くして必死な様子で忍の目を覗き込んでいた。
「ゆっくりするから、逃げないで」
「……」
「恥ずかしいのは俺も一緒だから」
手を取られ、五十嵐の左胸に押し当てられた。熱く、しっとりと汗ばんでいて、その下の心臓が早鐘のように打っている。
ああ、五十嵐も同じなんだ。焦って、興奮して、こんなに心臓がどきどき言っている。お互いに好きな相手と向き合って、緊張しているんだ。
忍も逃げ回るのをやめておとなしく五十嵐に横抱きにされたまま彼の口づけを受けた。五十嵐の首に両腕を回して自分からも舌を絡める。
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