3-5【R18】

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「五十嵐……」 「ん?」  忍がシーツの上で顔だけこちらに向けていた。さっきまで涙ぐんでいたとろりとしていた瞳が、小さな顔の中でもう生命力をきらめかせている。唇だけがまだ濡れて普段よりも赤く色づいていた。 「えっち。いろんなとこ、じろじろ見やがって」  早速普段の調子に戻ってしまった忍を、楽しい気分で眺める。回復が早すぎて思わず笑う。少し余韻が物足りないような気もするが、今の生意気そうな顔も、先ほどのうっとりと脱力した顔もどちらも心から愛しい。 「すみません。ついかわいくて」 「えっち。エロ」  少ない語彙力で五十嵐をののしる忍の頭を優しく抱き込む。腕の中でまだ何か文句を言っている。 「ピロートークなんだから、もっと他のことば言ってくださいよ」 「他のって?」  例えば、と優しくおでこにキスを落としながら呟く。「好きです、有村さん」 「……五十嵐」 「はい?」 「……すけべ」  どうしようもなく愛しくて思い切り抱きしめた。言葉で返してくれなくてもいい。忍が愛情深い人間であることはもう既に知っている。それにさっき、全身で五十嵐に愛情を伝えてくれたのだから。
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