別れと出発

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 平成十一年三月三十一日、博多駅より新幹線「のぞみ」に乗り、長い間夢にまで見た、徳島へ向かいました。 暖かい春の陽を浴びて桜の八分咲き位を、車窓から眺めて、胸を時めかしていました。 でもトンネルが多く、外の風景を楽しむことなど出来ず、次の列車に無事に乗り移れることが出来るかしら、マリンライナーと乗車券に、記されてあるが大丈夫だろうか、と気になり、思い出に浸る余裕などないのです。 岡山駅で乗り換えです。  「只今時速三百キロ」と、電光板に標示されているが私にとっては、二百キロでも三百キロでもよいのです。  連絡がきちんと取れさえすればよいのですから。    スムーズに連絡がとれて乗り込み、高松を今度は目指して乗り換えるのです。  
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