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その駅のホームは、夜の十一時というのに、大勢の人でごった返していました。その大半は、出征兵士の見送りでした。
日の丸の小旗を振り、万歳万歳と声をあげ、軍歌を混じえての激励の声が響いていました。
若い軍服姿や、年配の国民服姿の人々、婦人会の奥様達の白いたすきが目に焼き付いています。
二年前、二番目の兄が出征した時のことが思い出され、胸が熱くなりました。
子ども心にも、自分が今から行こうとしている処への不安と、両親から離れての団体生活と、きっと厳しい規則が一杯あって、今までのような、のびやかで幸せな生活が送られてないのでは・・・という思いで気が重かったようです。
お国の為に、皆力を合わせる時です、と云っても、九歳の子が家族と離れ、知らない地へ行くのです。
父や母、姉、妹、喧嘩ばかりしていたけど優しかった兄とも別れ、先生と児童たちとの生活が始まるのです。
どのような日々が待っているのでしょう?
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