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昭和十九年九月十六日、夜十一時。大阪梅田駅より、徳島へ向けての出発です。
学校創立、確か三年目の事です。
校庭に疎開する学童と、見送りの家族とが集まり、注意事項など受けてからの出発です。
それぞれの生活用品である夜具や学用品、衣類等は四五日前に学校へ持ち込んで、送って貰っていたのです。
上着の左胸には、校名、学年、氏名が記されている名札が母の手によって縫い付けられてありました。
当然モンペにも、防空頭巾にも、全ての持ち物全部に、すぐ判るように名前が入っていました。
防空頭巾は、どの様な時でも身体から離さず襷掛けにして身に着けていて、背のうを背負って列車に乗り込みました。
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