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父も母も、共に見送りに来てくれており、
母は「身体を大切にし、先生の仰ることをよーく聞くんですよ、いいね。」
と、目を潤ませながら肩に手を置いて、
「頑張るんよ、手紙書くからね。」と。
そして「お腹が空いたら食べなさい。」と云って、
大きな二十世紀梨を手渡してくれたのです。
きれいな青がかった梨でした。
その時の梨の重みをこの歳になっても忘れることはできません。
並んで立っていた父母の姿が、車窓から消えた時、、淋しさと、心細さとで、声をあげて泣きそうになりました。
岡山より宇野まで出て、宇高連絡船に乗り替え、十七日の早朝、朝靄に煙った瀬戸内海を始めて見たのです。
少しずつ明るくなってきて、鳥々が点々と見えだした時、先生が、「あれが源平の戦いがあった屋島ですよ。」と云われ、皆、少々燥いだも のでした。
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