別れと出発

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 現在は板野駅と変わっていました。    あの日は台風が近づいていたらしく、板西駅に到着した頃には物凄い嵐になっていました。  雨風が強くて、駅前に待機していたバスに皆乗り込み、お寺の山門前で降りて、参道を通り、仁王門をくぐり抜け、全身ずぶ濡れ状態で、目指すお寺へと着きました。    大きな屋根のお寺の正面玄関には、右端のほうに薄い板で作られた、丈の高い下駄箱が備え付けられてありましたが、私達一同は濡れたズックを脱ぎ捨てて早々にお寺の中に入ったのです。  一間半位もあろうかと思われる、広い廊下の左端傍に棚がずらりと作ってあって、児童達の持ち物である名札のついた柳行李が蓋をあけられて並べてあったのです。  松坂村のお手伝いの女の人達が、児童一人一人の身体を手早く拭いて、着替えさせて下さったのです。  これから暮らす処は、何十畳もあろうかしら?    
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