別れと出発

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 朝六時、泉福寺よりラッパが響きます。  泉福寺には、五・六年生の男子生徒がほとんどでしたので、六年生の男子が吹くのです。  元気よく鳴り響くラッパの音に眠い目をこすり乍ら、布団の上に正座し、乾布摩擦が始まり、終わったら、軽い運動の後、自分の布団を定められた場所にきちんと積み上げ、それから洗面所行きです。  方丈より本堂へ通じる渡り廊下の右側に、急遽作られたであろう、コンクリートのトイレットがあり、少し先の左側に洗面の為の水道が設けられてあり、皆そこで歯磨き顔洗いを済ませ、朝の掃除が始まり、終わったのち、朝の読経がありました。  御住職が声高らかに読み上げられた後について児童達も読み上げるのですが、厳粛で、気分のいいものでした。  後で判ったのですが、それは般若心経でした。  それからやっと、食事に成るのですが、ずらりと並べられている朝食に、驚かされました。  アルマイトの食器で、平べったいほうに御飯で、深みのあるほうに汁物がよそってあり、その量ときたら、六年生は大盛りの御飯で、五年生は少しこん盛りと、四年生は急に少なくて平べったいアルマイトの容器に子供用の茶碗一杯位の量がよそってありました。     
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