序章

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 担当の医師は、レントゲンの写真を、私と長女に示し、 「将来、一人で立って歩くことが出来ない身体になっているし、治療にも限界があるので、ご家族は覚悟して下さい」と。  なんて冷たい宣言なのでしょう。 あっさりと、簡単に話された医師の顔を黙って見つめるしかなかったのです。 「きっと少しでも歩けるように私達家族が支えあって、今後しっかりリハビリに専念出来るよう、一人で立ち上がって、動けるようになり、身のまわりの動作が出来るようにして見せるから、してあげなければならないから」と。 夫に向かって「大丈夫ですよ、あなた」 毎日、その言葉を言い続けながら。 「きっと、きっと、動けるようになりますよ」祈る思いでした。  
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