郵便

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 何と云っても嬉しいのは郵便です。  家族からの便りで、大阪の状況が少しでも判ればと思い、待ち望む日々でした。    お腹が空いて堪らない時でも、家からの便りは気が紛れて、随分救われたものです。    大阪には、両親と妹兄が残って居ましたので、代わる代わるの便りを手にしました。    時に姉は女学校を卒業して、会社勤めで忙しいにも拘わらず、週に一度は必ず便りをくれていました。    姉からの手紙はきれいなきちんとした字で書いてありました。私にとっては自慢の郵便です。    時には、母の手紙も同封されていたのですが、明治二十九年生まれの母は何時もきちんとしていて、きれい好きで人当たりのいい母でしたが、勉強はあまり好きではなかたらしく、文面は全部ひらがなでした。    それでも便箋はきれいな桃色の紙を使ってくれていました。    ひらがなばかりと云うのは、案外読みづらかったのを憶えています。    父からの手紙は毛筆で、しかも候文でした。達筆で素敵な便りを時々貰っていました。    
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