序章

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 そして十年間、寝たきりの姑を介護した経験を活かし、再び、頑張ってみるからと、自分に言い聞かせ、三人の子供たちの協力を仰いだのです。  救急病院へ通うのは丁度、冬の寒い十二月だったので、着替えの紙袋を提げて歩くのは大変で、手が冷たかろうと云って、長女が赤い革のの手袋をプレゼントしてくれました。  普段から手袋は邪魔、と云いつつ嵌めていなかったけれど、この時ばかりは娘の優しさに感謝しながら歩いたのです 。  でも老後は二人であちこち旅をしましょうね?行きたい処が沢山ありますからね?元気で長生きしましょうね?と。   “約束は飛び散ったみたいです…。”
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