通夜にて

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 私が小学四年生のとき、叔母が亡くなった。  この叔母は父の妹で、父とは歳が離れていた。亡くなったときは、まだ二十代半ばだったと思う。  私や従兄弟たちは彼女を「叔母さん」ではなく、「まきちゃん」と呼んでいた。  あまり会うことはなかったが、私がもっと小さかった頃、一緒に遊んでくれたことを覚えている。  いつも笑顔で優しいお姉さん。  そんなまきちゃんが急に亡くなった。  両親に連れられて通夜に行った。  薄情なことだが、そのときの私はあまり悲しいとは感じなかった。もう何年もまともに会っていなかったからだろうか。  ただ『若くても死ぬんだなァ』とだけ思った。  通夜といっても、子供はすることがない。  親戚とはいえ、周りは知らない大人ばかりだったし、親は相手をしてくれない。  私は、同じく通夜に来ていた歳の近い従兄弟と共に二階に追いやられ、そこで時間をつぶしていた。従兄弟とは仲が良かったので、退屈はしなかった。  夕方になると、二人とも疲れていつの間にか眠ってしまった。
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