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一通りの作業が終わると、三島が少し大きめの声で、香織に聞いた。
「で、どんな作戦なの」
「慌てないで。その前に、こちらが知りえた情報から説明するわ。でないと、作戦だけ聞いても不安になる人もいるでしょうから」
香織は、美玖達を迎えに行っている間に柴田が知りえた事、そして、香織達自身が知りえた事を、掻い摘んで説明した。
「それで、どうするの」
また三島が口を挟む。
「もう、黙って聞いてられないのかしら」
そう言って香織に睨まれても、三島は動じていなかった。
「こう、するの、よ」
香織はナイフを取り出すと、力を込めて真ん中からへし折った。
突然のその行為に、皆が一瞬目を剥いた。
「えっ、そんなことしたら」
「熊田さん達は教室脇の階段の陰に隠れてて。私達は隣の教室に潜むわ。急いで」
「その後、どうするんだ」
「その後、どうするの」
村瀬と三島が同時に聞いた。
「あいつらが教室に入ったのを確認したら、皆で一斉に飛び込むのよ。押さえつけて、一人ずつ年齢を奪う」
「で、その後はどうすんの」
三島が更に聞く。
「それは、この後また説明するから、今は言われた通りにして」
「分かった、分からないけど…おい、三島行くぞ」
そう言って、村瀬はまだ納得出来ていない三島の腕を引っ張った。
皆がバタバタと教室を後にしている時、香織は白鳥の傍らに立つと、スタンガンタイプのそれを白鳥に当てた。
白鳥の年齢が、元に戻っていく。
「いいのかな、そんな簡単に人を信用して」
白鳥が呆れ顔で香織を見た。
「監視員がここに来て、あんたがおばあさんだと警戒されるでしょ、それに」
一呼吸おいて、香織は続けた。
「信じるわ、白鳥さんの事。白鳥さんも、娘を人質に取られてる様なもんなんでしょ」
「あ、ありがとう」
白鳥は、香織達のその行動を止めることなく、ただ一言そう言った。
その言葉に、香織は白鳥から目線を外すと、踵を返して教室から出ていった。
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