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「お前……」
そこに彼が来てくれた。
私の手を取り、むせながら紋章をじっと見る。そんなに見つめられたら照れてしまう。
「随分と苦労をさせてしまったな」
「え?」
よく見れば、私の紋章は皺に隠れてしまっている。これでは魔法が使えなくて当然ね。
「あーあ、がっかり」
私は彼のそばに寄る。座ったまま、2人で塞がれた門を見つめる。
ほんの少しだけ期待していた。彼と最後に冒険したかった。もう無理だってわかっていたけれど、どうしてもあの勇姿が忘れられなくて。
例え、80歳間近の年寄りでも気持ちは少女のままだってわかってくれる?
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