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どう説明すればいいか考えていると、ふいに頬にキスされた。
「あなた!」
「このくらいのことは許してくれるだろう? 付き合った礼というやつだ」
「ふざけないで」
「で? どうなんだ。やりたいことあるのか?」
私はため息と共にポケットから小さな器具を出す。口を開けたマヌケな顔をしている彼の耳を引っ掴んだ。
「い、いたたたた! 年寄りにはもっと優しく……」
「うるさい!」
私は彼の耳にそれを取り付ける。
すぐに取り外そうとしたから、私は離れた場所に移動してこう言ってやった。
「あなたとこれからも一緒に過ごしたい。だから、もっと喋ってくれる?」
「おお! お前の声がはっきり聞こえるぞ!!」
びっくりした彼は器具を、補聴器を取り外すのをやめた。
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