第2話 睦人の想い

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第2話 睦人の想い

   別に特別な日じゃない。解っている。単なる三百六十五分の一日。  それでも恋人なら……この日の持つ意味は大きく違ってくる。  僕が斗陽に好きだと言ってもらえた日。僕の未来が開けた日、その日を二人で過ごす。付き合っているって事はそう言う事だと思う。  付き合いが長い分、今までそんなこと考えもしなかった。けれど二人で一緒に過ごして十年。今日こそきちんと想いを伝えたい。  片思いだと思っていたのに。諦めた恋だったはずなのに……まさか手を差し伸べてくれるなんて思いもしなかった。あの日。  それが十年前の今日。怖くて踏み出せなかった僕を見つけ出してくれた日。今でもあの時は忘れられない。  「どうして君が、こんな僕なんかと......」  「どうしてって?それ聞くかな。一世一代の告白なのに。もう一度言うよ。……好きです睦人」  「え……」  気がついた時には僕の恋愛のベクトルは同性に向いていた。初恋は幼稚園で出会った淳くん。そして、自分が他の子とは違う価値観だと気づいたのは小学生の時。それ以来隠して生きてきた。  誰にも内緒の片思い、それが僕の恋愛のデフォルト。     
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