85人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
おばあちゃんが言っていた。
お米のひと粒ひと粒に、神さまが宿っているのだそう。
神さまを見たことはないけれど、ひと粒ひと粒大切に扱わなきゃねって
おばあちゃんがいなくなった今も、お米を炊くたびにそう思う。
竹ザルのお米を零さないように、潰さないように、腕まくりをして掌でリズミカルに研ぐ。
背中越しに、彼が軽く笑った。
「最近のコメは軽く洗うだけでいいらしいよ?」
「ちゃんと研ぐと艶が出るんです。これはお米の神さまへの作法」
「ふーん。細い腕して…もう少し肉食った方がいいんじゃない?」
彼氏に言われると微妙な気持ちだ。
ダイエットしてるわけじゃないんだけど。
丁寧に仕込むと、炊きたてのごはんは透き通った味になる。
そこは理屈じゃないのだ。
土鍋で炊くとさらに美味しい。そんな難しい技も要らないから、毎日土鍋で炊いてもいいくらい。
吹きこぼれの後始末が面倒じゃなきゃ、やるんだけどなあ。
最初のコメントを投稿しよう!