12人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと。俺は俺が葵くんに感じているこの想いは何なのか考えてみた。葵くんが他の女子生徒と楽しそうに話しているのを見ると、ヤキモキしてしまうのは幼馴染では片付けられないし、葵くんの行動や表情全てが愛おしく感じられ、それを穢す者は絶対に許さない自信がある。俺は自分の胸に手を当てる。葵くんの事を考えている時の心臓はいつもより早く脈打っているように感じ、恥ずかしいような嬉しいような気持ちになる。
「ああ。私は葵くんの事が好きなんだ…。幼馴染としてではなく、1人の男の子として」
俺は前世で試しにやった乙女ゲームで、女主人公が今の俺と似たような気持ちになっていたと思い出した。
「葵くんは私をどう思ってるかわからないけど、告白をしてみよう」
俺は決意を固めると葵くんがトイレから戻ってくるのを待った。
葵くんがトイレに向かい数分が経つ。
「お待たせ!雪姉」
葵くんはトイレに行った時と同じ様に小走りで戻ってきた。
「そ、そんなに待ってないよ。それじゃ。観覧車に並ぼうか」
葵くんへの想いに気づき、告白すると決めたら恥ずかしさで葵くんの顔をまともに見れない。男だった時には恋愛経験など無く、告白した事もされた事もなかったので尚更だ。俺と葵くんは手を繋いで観覧車の列の最後尾に並んだ。
最初のコメントを投稿しよう!