TS娘は男の娘に恋をする

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俺が着替えを終えてリビングに入ると、葵くんはソファーに座りオレンジジュースを満面の笑顔で美味しそうに飲んでいた。近くには俺の母さんが座り、葵くんを優しい笑みで見ている。 「お待たせ。葵くん」 葵くんに声をかけると、葵くんはさらに輝かんばかりの笑顔になり、てててと俺に駆け寄ると抱きついてきた。葵くんは高校1年生の男子にしては背が低く153cmしかなく、女子にしては167cmと高めの俺に抱きついても姉に甘える妹の様にしか見えず、俺と葵くんの肉親以外の第三者が見ても高校1年生男子が、高校3年生女子。しかも、幼馴染に抱きついているとは夢にも思うまい。 前世が男なので、男に抱きつかれても嬉しくはない。それ以前にら前世の記憶を持つ女子高生なんて俺だけだと思うが。しかし、葵くんは美少女な外見の他に、言葉や態度から伝わる俺への好意があるので、無碍に突き放すことはせずに優しく頭を撫でてあげる。そうすると葵くんは気持ちよさそうに目を細めてニコニコする。 「そうしてるのを見ると姉妹と言うより母娘ね」 母さんが苦笑まじりに言いながら、葵くんがオレンジジュースを飲み終えて空いたコップを片付ける。 「あ、あはは…。それでどこに行きたいの?」 苦笑して母さんを見送り、葵くんに目線を合わせて問いかける。 「特に行きたい場所は無いけど、雪姉と一緒にお出かけしたいって思ったの。だめ?」 葵くんは不安そうな目をして俺を見てくる。そんな目で見つめられたら断れないではないか。もっとも、葵くんのお願いを断る気など更々ない。 「だめじゃないよ。行こっか」 「うん!」 俺が笑顔で言うと、葵くんも笑顔で大きく頷いた。
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