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駅前ビルに着いて先ず向かうのはら屋上の1つ下にあるボーリング場だ。カウンターで手続きを済ませてから靴を借り、履き替えると、指定されたレーンに向かう。その途中。自動販売機で目印用に買ったジュールを置き、ボールを取りに向かう。
「これ位でいいかな」
俺が取ったの11ポンドのボールだ。
「雪姉。お待たせ」
葵くんはボールの色から察するに9ポンドのボールにした様だ。
「最初は私からだね」
俺はボールを持つと第狙いをつけ1投目を投じた。
「すごい!すごいよ!雪姉!ストライクだよ!」
俺は投じたボールは、狙い通りの場所に転がり結果はストライク。それを見た葵くんは笑顔で手を叩き、我が事の様に喜んでくれている。
「ふふ。ありがとう」
ニコニコ笑顔の葵くんの頭を微笑みながら撫でていると、胸が少し高鳴っているのに気づく。この感覚は以前からも時々あった。それらは全て葵くんと一緒にいて葵くんが俺に屈託の無い笑顔を見せている時や、俺に甘えてくる時に見受けられた。この感覚は一体なんなのだろうか?前世では恋人ができないまま30歳になる前に世を去ってしまった。なので、経験のない胸の高鳴りだ。葵くん以外の男に笑いかけられても、まったく感情を動かされない。
「次はボクの番だね!」
気合を入れた葵くんは、ボールを持つと前に進みボールを投げる動作に入り、葵くんの手から離れたボールは無情にもミゾに落ちてガーターとなった。次に投げたボールは3本倒すだけにとどまる。
「うぅ…。雪姉みたいにストライク取れなかったよ」
葵くんはしょんぼりと肩を落としてドボドボと戻ってきた。
「ドンマイ。次は上手くできるよ」
俺が励ますと葵くんは力なく頷いた。
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