TS娘は男の娘に恋をする

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互いに何投か投げ終わり、俺は順調にスコアを伸ばしているが、葵くんはストライクどころかスペアも取れずに今にも泣きそうだ。泣きそうな葵くんを見てると何とかしてあげたくなり、子供の時にやっていたおまじないをする事にした。 「葵くんおいで」 「うん…」 項垂れて椅子に座っている葵くんを呼び寄せ、葵くんが近くに来ると葵くんを少ししゃがませ、ちょうど良い高さになった所で俺は葵くんを抱きしめ、俺の胸に葵くんの頭を押し当て優しく撫でる。 「大丈夫。次はストライク取れるよ。私が応援してるからね」 優しい声色でゆっくりと葵くんの耳元で囁く。これは子供の時にやっていた葵くんを元気付けおまじないで、これをされた葵くんはたちまち元気になった。自ら男を抱きしめてその顔を胸に押し当てるなど、葵くん以外の男には絶対にやらないし、やりたくもない。葵くんは可愛くて良い匂いがするので特別だ。 「うん。頑張る!雪姉の心臓の音を聞いてると何だか落ち着くよ」 葵くんは笑顔で俺を見上げ言うと、ボールを持ち投げに行った。 ボールを投げようとする葵くんを見ている俺の顔は、真っ赤になっている事だろう。あのおまじないは、葵くんが小学校1年生になって以来やってない。葵くんがそこまで落ち込む事が無くなったのもあるが、おまじないを始めた時は女の胸の中で泣いて、癒してもらえるなんて男として幸せだろ?と始めたのに、俺の方が少し恥ずかしくなったからやらなくなった。では何故。恥ずかしさに耐え、おまじないをしたかと言うと、泣きそうな葵くんを見ているのが辛かったし、俺は葵くんを泣かせる奴が、何よりも許せないので、そんな下衆になりたくなかったからおまじないを敢行した次第だ。
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