桜の木の下

17/28
前へ
/42ページ
次へ
「雪弥さんは素敵だってことです!」 フォローになっていなかったらしくさらに怪訝な顔。 「---どうだかね?」 ぷい、と効果音が付きそうな感じであっちを向いた雪弥さんはまた歩き、脇にあったちょっとした高台につながる石段を登り始めた。 この人はどこで一服をするつもりなのか。 もうだいぶ歩いてますよ? 「って、どうだかもこうだかも、ホントですよー」 「そうは思ってない人もいるみたいですけどね」 「それは―――」 はた、と思って登っていた足を止めた。 「---雪弥さん」 呼びかけるとちゃんと止まって振り向いてくれる。 じっとその色素の薄い瞳を見た。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加