第一話 『万引きG犬』

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        ◆ 交番に着くと、先輩巡査の三川成実が受け入れてくれた。 デスクを挟んだ奥で、手元にバインダーを持ちながら、にこやかに猫目を細めている。 既に事情は伝えていた。対応は、彼女にしてもらうつもりだ。 相手が女性の場合、なるべくこちらも女性で応じるのがセオリーになっている。 「どうぞ、お掛けください」 成実に椅子を出されて、女子高生は腰を降ろした。 僕は、その脇で待機する。 「じゃあ、まずお名前から教えて貰えるかしら?」 「川口由依(かわぐちゆい)……です」 そう答えた彼女は、クスヤにいたときよりも大分落ち着いていた。 目元も若干だが潤いをもっている。 「川口さんね。対応させていただきます石森署地域課の三川です」 丁寧に頭を下げると、成実は「では……」と、切り出した。 .
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