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交番に着くと、先輩巡査の三川成実が受け入れてくれた。
デスクを挟んだ奥で、手元にバインダーを持ちながら、にこやかに猫目を細めている。
既に事情は伝えていた。対応は、彼女にしてもらうつもりだ。
相手が女性の場合、なるべくこちらも女性で応じるのがセオリーになっている。
「どうぞ、お掛けください」
成実に椅子を出されて、女子高生は腰を降ろした。
僕は、その脇で待機する。
「じゃあ、まずお名前から教えて貰えるかしら?」
「川口由依……です」
そう答えた彼女は、クスヤにいたときよりも大分落ち着いていた。
目元も若干だが潤いをもっている。
「川口さんね。対応させていただきます石森署地域課の三川です」
丁寧に頭を下げると、成実は「では……」と、切り出した。
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