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「まず先に、事実確認をしたいと思うんだけど、川口さんは……」
「私はやってません」
成実の言葉を最後まで聞かずして、由依が返してくる。
これには成実も眉尻を下げた。
こうしたタイプの場合、余程の事がないかぎり途中で意見を曲げたりしない。
決定的な証拠でも突きつけなければ、ずっと同じことを言い続けるだろう。
それは成実もわかっている。
「そっか」と、素直に頷いた。
「じゃあ、どうして保護者や先生を呼ばなかったの? 胸を張って堂々と言えば良かったじゃないの。『自分は無実だ』って」
後ろめたいことがないのであれば、隠す必要がないのも事実。
何故、頑なに連絡を拒否したのか?
成実はそこを突いていた。
由依は顎を引いて大きな瞬きを一度すると、「それは……」と成実に真っ直ぐな視線を向ける。
「親でも先生でもなく、警察の人に来て貰いたかったから」
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