第一話 『万引きG犬』

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「まず先に、事実確認をしたいと思うんだけど、川口さんは……」 「私はやってません」 成実の言葉を最後まで聞かずして、由依が返してくる。 これには成実も眉尻を下げた。 こうしたタイプの場合、余程の事がないかぎり途中で意見を曲げたりしない。 決定的な証拠でも突きつけなければ、ずっと同じことを言い続けるだろう。 それは成実もわかっている。 「そっか」と、素直に頷いた。 「じゃあ、どうして保護者や先生を呼ばなかったの? 胸を張って堂々と言えば良かったじゃないの。『自分は無実だ』って」 後ろめたいことがないのであれば、隠す必要がないのも事実。 何故、頑なに連絡を拒否したのか? 成実はそこを突いていた。 由依は顎を引いて大きな瞬きを一度すると、「それは……」と成実に真っ直ぐな視線を向ける。 「親でも先生でもなく、警察の人に来て貰いたかったから」 .
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