第一話 『万引きG犬』

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彼女の一言に、僕と成実は顔を見合せた。 普通は、警察沙汰になるのを嫌がるものだ。 「どうしてまた?」 僕が口を挟むと、由依は両手の指を組んでデスクの上にのせた。 「これで二回目なんです」 「何が?」 「……万引き扱いされるのが」 それは常習犯だからじゃないのか? とも思ったが、由依の顔を見る限りそういう意味ではなさそうだ。 「前にも、仲の良いクラスメイトが同じように捕まったの。でも、その子も実際にはやってなくて、気が付いたらバッグに化粧品が入ってたみたいなんです」 でも……と、由依は目を伏せる。 「そのことを誰も信じてくれなかった。先生を呼ばれて、学校でも咎められて……結局その子、それがきっかけで不登校になっちゃったの」 だからか……と、僕は頷いた。 最悪の前例を見ているから、由依は連絡を拒否していたのだろう。 「なんか悔しくって……それで、私も友人と三人でクスヤに行ったんです。一度お店の人と話がしたくて、それで店内を彷徨きながら店長さんを探してたの。そしたら……」 .
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