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「今度は自分が同じような目にあったってわけ?」
成実の問いに由依が頷く。
「おかしいと思いませんか? 私の周りで二回も同じことが起きてるんですよ?」
うーん、と僕は唸った。
残念ながら、彼女が万引きをしていないという証拠もない。
実際に、バッグに商品が入っていたのは事実。
どこまで信じていいものか、悩みどころではあった。
「貴女が警備室に連れていかれたとき、他の二人はどうしたの? 一緒だったんでしょ?」
「メールで家に帰るように、すぐに伝えました。万が一のときは、そうするようにお互い話していたんです」
「……そう」と、成実はバインダーに挟まれた紙にペンを走らせる。
「ちなみに、その二人がマニキュアを手に取ったということはなかったのかしら?」
その質問で、由依の顔が一瞬曇った。
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