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全体の色はベージュ。
表面には、チンチラのような柔らかい毛がはえている。
私は、小首を傾げながらも一歩近付いた。
フローリングの床でなんとか踏ん張りながらも、鼻先を伸ばして匂いを嗅ぐ。
微かに慎一の匂いがしますが、恐らくは新品でしょう。
使用された感じは全くしません。
となれば、これは慎一が新しく用意したモノで、まだ誰のものでもないということですよね?
つまり、私にも権利があるということです。
私は迷わず前足で引き寄せると、先端部分に噛みついた。
そのまま首を横に動かし、右に左に振り回す。
いい感じに楽しくなってきたところで、背後から怒鳴り声が聞こえてきた。
「コラッ、ダイフクッ」
振り返ると、慎一が腰に手をあてて仁王立ちに構えている。
「ちょっと、新しいスリッパで何やってんのさっ」
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