384人が本棚に入れています
本棚に追加
◆
いつもと違う散歩道。
コンクリートの道は好きではないが、見慣れぬ景色を練り歩くのは嫌いじゃない。
住宅街を抜けて大通りを進むと、やがて『クスヤ』と書かれた大きな看板が見えてきた。
平日の午前中にも関わらず、駐車場は既に多くの車で埋まっている。
田舎の商売はなかなかに難しい。
大型ショッピングセンターにも負けず劣らずの繁盛ぶりは、きっと並々ならぬ努力があるのだろう。
駐車場の端を通り、正面入口へと近付いていく。
店先には、特売の野菜がズラリと並んでいた。
栗や柿など、秋ならではの食材も豊富だ。
中でも、カゴに積まれたサツマイモに目が止まる。
丸々と太ったサツマイモが、私を呼んでいた。
『甘くて美味しいよ』……と。
.
最初のコメントを投稿しよう!