第一話 『万引きG犬』

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「それよりも、どうかされたんですか?」 「それが……例の女子高生についてなんですけどね」 「ようやく反省しましたか?」と、河野は笑みを浮かべて丸い顎を手で擦った。 「うちとしてはきちんと反省の態度を示して、二度とやらないと誓ってくれればそれで良かったんですよ。まぁ……生意気な小娘でしたけど、結局は親を相手に訴えても面倒くさいだけですからね」 「いえ、違うんです。実はちょっとまだ揉めていまして……」 慎一が言いにくそうに頬をかくと、河野は上げていた口角をわかりやすく下げた。 「まだシラを切ってるんですか?」と、目くじらを立てて腕を組んでいる。 「あくまでも、『誰かにマニキュアをバッグに入れられた』と言い張るんですよ。あまりにも強く主張するもんですから、一度確認したいと思いまして……」 「アレ、確か作動してますよね?」と、慎一は店内の天井にある監視カメラを指差した。 「ダミーもあるんで全部ではありませんが、まぁ大体は。見ますか?」 「お願い出来ますか?」 「構いませんよ」 ただ……と、河野は私に目を向けた。 .
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