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「事務所にワンちゃんを連れていくのは、ちょっと遠慮していただきたい」
両手を合わせる河野に、「わかってます」と、慎一は私を地面に降ろした。
なんだ、残念ですね……
私も見たかったんですけどね、監視カメラの映像。
「とりあえず、そこを使ってください」と、河野は店の右手を指差した。
「一応、ペット用のスペースになってますから」
「あのポールですか?」と、慎一は私を誘導しながら店の外壁に向かって歩いていく。
自動販売機とベンチが置かれ、そのすぐ横に黄色いポールが建っている。
上からリードの輪をポールに通されると、私は見事に囚われの身となりました。
なんだか鎖に繋がれたようで、好きじゃないんですよね……コレ。
露骨に嫌な顔をして見せたが、慎一は全く見てくれない。
「じゃあ、お願いします」と、河野と二人で従業員入口へと歩いて行ってしまう。
仕方なく私は、ポールに繋がれたまま横のベンチに飛び乗った。
冷たいコンクリートの上でなんか、待ちたくはありません。
風邪を引いたら、どうしてくれるんでしょうか。
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