第一話 『万引きG犬』

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僕が挨拶をすると、店長の河野が「あぁ、只野さん」と片手をあげる。 達磨のように目を丸く見開き、二重になりかけた顎を持ち上げていた。 彼とは久しぶりに会うが、少し頭皮が薄くなったように思える。 そのせいか、まだ四十代のはずだが実年齢よりも大分老けて見えた。 スーパーの赤いエプロンが、子泣き爺の前掛けのようだ。 「すみませんね、お忙しいところ。ちょっと困っちゃいましてね」 河野が向かいを指差すと、女子高生の目付きが鋭くなった。 こちらは、透き通った白い肌にライトブラウンのストレートヘアー。 目鼻立ちも整っており、紺のブレザーを着た彼女は、まるでコスプレでもしているかのように大人びて見える。 「困ってるのはコッチだって。だから、さっきから何度も言ってんでしょ。やってないんだって」 挑むような視線を向けながら、彼女は毛先を指でクルクルと巻く。 顔に似合わず、随分と攻撃的な言葉使いだ。 .
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