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「ラエ、その斧でバウクに切りつけてみてくれ。
バウクはそれを受け止めるんだ。」
鬼教官は2人に指示を出す。
2人は鬼教官に言われた通りに行動した。
ラエさん扮する鬼教官の斧がバウクに容赦なく振り下ろされる。
対するバウクはトンファでそれを受け止める……ハズだった。
しかしラエさん扮する鬼教官の斧はバウクのトンファをすり抜けバウクを両断したのだ。
「バウク!」
私は直ぐにバウクの下に駆け寄った。
……が、バウクに怪我はなく何が起こったのかわからないといった感じだ。
私も頭に“?“マークが点灯する。
「なるほどです。
間合いの攪乱ですね?」
リンさんが納得したように頷いた。
え?
どゆこと?
解らないという顔をしていた私に鬼教官は教えてくれた。
「リンの言った通りだ。
さっきも話したが、変化の術は幻影を纏う魔法だ。
その幻影を視覚で捉えてしまうと、今のようなことが起こる。」
「つまり?」
「実際のラエの間合いは、幻影のそれより短かったのだ。
バウクはそのことに気づけず、視覚で受け止めようとした。
だから、受け止めることが出来なかったのだ。」
鬼教官がどや顔で私とバウクに向かって言った。
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