聖子さんの料理教室のこと

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 真顔で尋ねるのやめて。 「素麺茹でるぐらいならできると思うけど」 「あなたはまだ、吹きこぼれの怖さを知らない……」  何それ。何のキャッチコピー? 「別に台所の破壊を企んでいるわけじゃないんだから」 「ほんとに?」  なぜそこを疑う。  一介の女子高生がちょっと料理しただけで台所が再起不能になるなん て、どこのギャグマンガよ。 「私の娘だし、それぐらいやるかなって」 「え、壊したことあるの?」 「無いよ。私、料理上手だもの。あの人の事だって胃袋をがっちり握り潰して落としたんだから」  そりゃ内臓破壊技喰らったら、大抵の人間は落ちるだろう。意識が無くなって、後は目覚めるか目覚めないかだけの差。それはひょっとすると些細な事なのかもしれない。  私の中では違うけどね。掴むぐらいにしといてください、聖子さん。 「じゃあ、何で娘が壊すと思うわけ?」 「いや、私の娘だからこそ、やるならとことんやるんじゃないかなって」 「凄い料理が出てくるか、台所が木っ端微塵になるか。そういう事?」  うわぁ、凄い頷いてくれた。 「じゃあ、物凄い素麺ができるかもしれないよ?」  自分で言っててなんだそれ、とは思うけれど。 「無い。それは無理」     
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