聖子さんの料理教室のこと

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聖子さんの料理教室のこと

帰宅すると、聖子さんはソファに寝そべってアイスを食べていた。  七分丈のパンツに半袖のシャツ。エプロンは食卓に丸めて放り出され、クーラーまでついている。 「ただいま」 「お帰りー。あんたもアイス食べていいよー」 「いや、お昼ご飯は?」 「だからアイス」  マジか。育ち盛りの娘を何と心得る。 「だってさぁ、火の前に立つとまだまだ暑いんだもの。なんで半日で帰ってくんの?」 「学校の方針だからとしか……」 「学校の方針で半日帰宅。会社の方針で賞与減額。方針方針。あー方針」  後半は私悪くないし。 「君らは何? 仙人の世界で働いてんの?」  ホウシン違いも甚だしいし、そもそも仙人だってそればっかりやってるわけでもなかろう。  というかもう文句というかイチャモンというか言いがかりというか。性質の悪いチンピラに絡まれた気分なんですけれど。娘は高校で大人への階段を上った感満載の扱いを受けているというのに。 「私、何か作ろうか?」  何となく。  何となくだよ?  そう言ってみた途端だよ。  聖子さんはソファから跳ね起きた。  跳ね起きてから、台所に入って支度しようとした私のところへすっ飛んできた。 「あんた大丈夫?」     
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