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「それでは、面接を終了します。」
今日は上手くいった!
私はウキウキしながら、家に帰った。
「ただいま」
家のドアを開けて入った瞬間、とてもいい匂いがした。
小学生の時から、この匂いをかぐたびにワクワクした覚えがある。
「お帰り、みき。遅かったじゃないの」
なんと、名前がばらされてしまった。
そう、私の本名は、みきだ。るなじゃない。
美術の「美」に、糸へんの己、と書く、「美紀」だ。
電話で名前を説明するときに、「美術の、『び』です」って言ってるのにわざわざ、「『美しい』という字ですね」って言わないでくれ恥ずかしいんだ本当に本当にさ
・・・・じゃなくて。
母は夕飯の支度をしていた。鍋の中に入っているカレーを焦がさないように混ぜていた。
今は母と2人暮らしの私。
父親はいない。私が幼い時に家を出たらしい。
一足先に就職した、4つ上の兄はフツーのサラリーマン。
母に迷惑かけまいと、1人暮らしをしている。
兄は、とても立派だ。頭もよく、スポーツ万能。何でもできる。
噂では、結婚を前提に付き合っている、白衣の天使がいるそうな。
仕事も、プライベートも順調な兄。
私とはまるっきり正反対で、本当に羨ましい。
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