雨の日に約束。

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「まぁ、でも騙されたと思って飲んでみてよ。ここのコーヒー牛乳、意外とあっさりしてて美味しいよ?」  私は今までにこういった経験がないので、どう接したらいいのか分かりませんでした。  でもこれは杉原先輩の好意なのですから、 「……はい、有難うございます」  私はいただくことにしました。  ……そして…私はふと、気が付いた。  先輩がビニール袋から出した昼食のパンには飲み物がないのだ。 (自分で飲もうとしたものなんですね……) 「じゃ、先輩はこれどうぞ」  と、私はタンブラーを先輩の前に置く。 「私のいつも使ってる物で申し訳ないですが、パンは水分がないと入っていきませんから」  杉原先輩は私の取った行為に驚いたのでしょうか? (……今度こそ…突き返される?)  またそんな間だった。 「…思ったより笹倉は優しい子だったわー。あんがとね」  そう言いながらタンブラーを受け取ってくれました。  良かったです!!  人の好意を受け入れてくれる人ですから、悪い人ではないです。 (悪い噂は、時として肥大するものですからね……)  先輩に頂いたコーヒー牛乳は甘味がなく、さっぱりしていました。
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