256人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
文化祭の催し物が決定した次の日、私はいつもより機嫌が良かった。
(……今日は雨です)
天気は朝から雨です。
……雨の日は、いつもの私と違う。
あのときと違う天気、晴れていないから。
「叶さん、お早う御座います!」
「お早う御座います」
私は笑顔で返す。
(…でもこれはいつものこと)
雨粒が傘に落ちる音は嫌いじゃない。
むしろ好きだから私の心の心も雨の音に乗る。
「あ」
「杉原先輩だ」
ふと、自然に耳しにた言葉に私はらしくもなく反応してしまう。
あの人は昨日の隣の席の男子が言っていた先輩だろうか。
(……傘、さしていない)
雨なのに。
黒、紺、透明等の傘の中で、傘を指していない杉原先輩という人はびっしょりと濡れていた。
「………」
私は遠目で見ていたら、他の生徒がその杉原先輩に声をかけた。
「杉原、何で傘指してないわけ?」
「んー?………彼女ん家に傘置きっぱなしで取りに行ってないから」
軽そうな口調で、笑顔で言ってそうな声で………内心虐めを受けていた中学の時の生徒を思い出した。
(……でも嫌じゃない)
「馬鹿だねお前…」
最初のコメントを投稿しよう!