ある日の路上

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ある日の路上

高校時代の友人、淳と朝まで家で飲み空かした。 目が覚めるとだるさと、軽い吐き気、散らかった部屋にうんざりする。 「あー俺はもう28だぜ。 ガキみたいな飲み方しちまったな。」 酒の缶や、ツマミの食い散らかされた中に。酔った勢いで書いた楽譜がある。 高校のころから22まで付き合った初恋の千里に向けて作ったものだ。 ベロンベロンになった時に、淳が昔ばなしなんて始めて、ついついセンチメンタルになって作ってしまった。 お前の元彼女の加奈子、近々結婚するらしいよ。 盛り上がりが最高潮位になった時、たしか、夜中の12時頃だっただろう、そこから二人あーだこーだギター一本で曲を作った。 歌詞を見て笑いがでる。 かっこつけず、ただ本心を書き綴った物。 だからか、いつもより少し恥ずかしかった。 休みの日の日課19時から21時まで駅前の路上で弾き語りをするのだが、まだ少し時間があるからこの曲を練習しようとギターを手にもつ。 届いて欲しいな、あいつが聞くことはきっと無いんだろうなと少し寂しく笑った。
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