ある日の路上

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「あー、やってしまった」 酔うと寂しくなって電話する悪いクセ 途中で寝ちゃうんだもんな。 朝4時までのんで始発で帰ると家でてからかぁ。 駅の前を通った時、ここらへんでやるんだろうなとあいつの演奏姿をイメージした。 多分人だかりがながれ、彼の前に立ち止まる人はそう多くないのだろう。 真の歌う姿は昔の姿のまま、ただ歌詞に想いを乗せて熱く歌い上げる。 きっと昔よりさらに腕をあげたんだろうなと。 誰の為に歌うんだろう? 何の為に歌うんだろう? あいつは夢を追っている。 最初はシンガーとして売れたいと思っていたといったことがある。 今は?まだ売れたいだけなのか? 俺の問いに「もう意地かな。」と困った顔をした。 そして、「まあ、聴いて欲しいんだろうな」ちょっと考えた後の足した答え、誰か頭に浮かんでいるかなんて深くは立ち入らなかった。 「答えは一つでしょ!!おれっていい奴?」 酔っぱらいの上機嫌、お酒のせいにしたおせっかい。 7コール位した後、あっ流石に寝てるかと静かに電話を切った。
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